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「ネパールやその他の国からクウェートに来る移住労働者は、家畜のようなものです。むしろ、家畜の方が高くつくかもしれません。私たちが死ぬことも、殺 されることも、誰も気にも留めないのです。私たちの命に価値はないのですから」―アムネスティが聞き取りをしたネパールの移住労働者―
ネパールのカイラリ郡出身の30歳の男性が、人材派遣を行う会社にだまされたということをアムネスティ・インターナショナルに証言しました。彼は観光ビ ザでマレーシアに行き、3カ月で帰国することになっていたものの、その契約は守られることはく、彼に残されたのは2,000米ドルの借金でした。彼の妻は 自殺しました。
ネパールは、世界で最も経済発展が停滞している国の一つであり、2008年の失業率は46%にのぼります。貧困を逃れるために、多くの若者が国を出て働くことを余技なくされています。
2010年に海外に働きに行ったネパール人の数は、294,094人であり、2000年の55,025人のおよそ5倍になっています。主な受入国は、マ レーシア、サウジアラビア、カタール、そしてアラブ首長国連邦であり、その多くが建築、製造、そして家事労働の分野に携わっています。2010年から11 年のネパールのGDPの約20%は、海外からの送金によるものでした。
ネパールの移住労働者が仕事を求めて海外に行く際、多くが人材派遣を行う会社を利用します。2008年から2009年の間に、ネパールの移住労働者から 人材派遣会社に支払ったお金は、710,000米ドルに上りました。現状では、政府による規制は適切に機能していません。
アムネスティが、およそ150人のネパール出身の移住労働者から聞き取り調査を行った結果、その約90%が派遣会社と偽りの労働契約を結ばされていたこ とを明らかになりました。ある者は一日21時間を越えて働かされ、ある者は雇用主から性的に搾取され、ある者は約束された賃金の半分も受け取れず、偽りの 被害の例は枚挙に暇がありません。
アムネスティが聞き取りを行った17人の家事労働者の中で、13人が1日19時間を超えて働いていたことを証言しました。クウェートで働く28歳の女性の移住労働者は、労働条件についてこのように証言しています。
「私は午前5時から、次の日の午前2時まで休みなく働きました。私は料理、清掃、洗濯、アイロンがけ、そして4人の子どもの世話をしました。やることは 山ほどあるのに、私を雇った家族は1日に2回のわずかばかりの食料しかくれませんでした。私は常に空腹に耐えていました。彼らは外出時に、必ず私を台所に 閉じ込めました。そのため、彼らが外出することが分かると、あとで食べられるように食べ物をくすねました」
また、カトマンズにいる29歳の移住労働者はこう証言します。
「私はトルコのキプルスのパン屋で働く仕事を得るために、借金をしながら4,900米ドルを派遣会社に支払いました。派遣会社には月680米ドル稼げる と言われていたのに、空港に行って分かったことは、私は200米ドルしか支払われない家事労働者の仕事があてがわれていたことです。派遣会社が偽った契約 をしていたものの、私にできることは何もありませんでした。巨額な借金を背負ってしまったために、もう後戻りできなかったのです」
アムネスティの調査員は、この現状を人身取引であると言い、「ネパールの移住労働者は、国を出る前に、巨額の富を手にしている派遣会社にだまされています。実情を知った時には、60%という恐ろしい年利から逃れられない状況に陥っています」と指摘しています。
移住労働者の立場は弱く、取り込まれた搾取の構造から逃れることができません。また、問題が起こった時に、誰に頼るべきかを知らないです。ネパール政府 当局は、速やかに派遣会社を規制するだけでなく、移住労働者やその家族が適切な情報を入手できるようにすることが求められています。
報告書「守られない約束:ネパールの移住労働者の強制労働(英語)」2011年12月
2012年2月1日 朝日新聞
http://www.asahi.com/international/shien/TKY201201310583.html |